【医師監修】意外と知らない保湿の仕方|正しい保湿ケアのポイントを押さえよう

原 みずき
監修者 : 原 みずき
【プロフィール】

皮膚科医。都内のクリニックで勤務。自身が小児期にアトピーであったことから皮膚科医を目指した。女性の皮膚科専門医としてアトピーなどの日常的な疾患から、シミなどの美容皮膚科まで幅広く診療している。

スキンケア

スキンケアのなかでも、美肌を作る基本とも言えるのが保湿ケアです。保湿がしっかりできていると、紫外線などのダメージから肌を守れるので、シワやたるみ、シミなどの予防・改善につながります。大切な保湿ケアですが、正しい保湿の仕方は意外に知らない方が多いのではないでしょうか。今回は、正しい保湿ケアのポイントを紹介します。

なぜ保湿が必要か

そもそも、スキンケアでなぜ保湿が必要なのか、そのメカニズムについて解説します。

肌の構造

肌は、表面に近いところから「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層からなります。それぞれ以下のような役割があります。

表皮:肌の一番外側にあり、乾燥や紫外線などのダメージから肌の内部を守ります。
真皮:肌の土台となる部分です。繊維状のタンパク質であるコラーゲンやエラスチン、水分を保持するヒアルロン酸などの働きによって、肌にハリを与えます。真皮には、血管やリンパ管なども存在しています。
皮下組織:主に脂肪組織からなります。外からの衝撃を吸収するクッション、体温の調節、エネルギーの備蓄などさまざまな働きがあります。

肌が持つバリア機能とは

肌の保湿は、このうち表皮がもつバリア機能と関連しています。表皮は厚さ約0.1~0.3ミリの非常に薄い層ですが、このなかに「角質層」「顆粒層」「有棘(ゆうきょく)層」「基底層」があります。

表皮のなかでももっとも外側に位置する角質層は、角質細胞が何重にも重なった構造をしており、大きく2つの役割があります。

①紫外線や細菌・ウイルスなどの外敵から、肌の内部を守る
②肌の内部から水分が蒸発するのを防ぐ

これを角質層が持つ「バリア機能」といいます。この働きにより、肌の健康やキメが維持されています。しかし、何らかの原因で肌が乾燥すると、角質層の構造が乱れてバリア機能が弱くなるため、肌がダメージにさらされやすくなり、余計に乾燥してしまいます。

肌が乾燥する原因

肌が乾燥する要因は、日常生活や習慣などさまざまなところに潜んでいます。

環境因子

繰り返し紫外線の刺激を受けている肌は、刺激から守ろうとして角質をため込みます。すると、肌のキメが乱れたり、肌の内部が隙間だらけになり、水分が蒸散しやすくなり、より乾燥が進みやすくなります。
冬場は気温が下がって空気が乾燥しがちなので、肌も乾燥しやすくなります。さらに、室内の環境にも要注意です。

ターンオーバーの乱れ

肌は、ターンオーバーによって一定周期で角質細胞が生まれ変わり、肌のバリア機能をキープしています。しかし、生活習慣の乱れなどによりターンオーバーのサイクルが乱れると、古い角質細胞が肌に残ったり、逆に未熟な角質細胞が増えたりするため、肌トラブルにつながります。

加齢

歳を重ねるにつれて、角質細胞内に水分を保持する「天然保湿因子(NMF)」や水分の蒸発を防ぐ「皮脂膜」などの生成量が低下します。新陳代謝が低下して肌のターンオーバーも乱れがちになるため、年齢肌ほど保湿対策はしっかり行う必要があります。

間違ったスキンケア方法

クレンジングや洗顔のときに肌を強くこすったり、洗浄力が高すぎるアイテムを使ったりしていると、色素沈着や乾燥の原因になります。毎日丁寧にスキンケアしているつもりでも、その方法が間違っていれば、乾燥や肌トラブルにつながってしまいます。

これで完璧!正しい保湿の仕方

スキンケアのステップごとに、正し保湿の仕方を紹介します。

肌に合ったクレンジング剤を選ぼう

洗浄力が高いクレンジング剤ほど、肌への負担は大きくなります。しかし、洗浄力が低いとかえってクレンジングするときに力が入って肌をいためてしまいます。クレンジング剤は、洗浄力の高い順に以下のように並び、肌への負担の強さと比例します。

オイル>リキッド>ジェル>クリーム>ミルク

肌質やメイクの濃さに合わせて、クレンジング剤の種類を選びましょう。

洗顔料はしっかり泡立てて

洗顔料はしっかり泡立てて使うのがポイントです。泡が顔についた汚れを落とすとともに、泡がクッションになるため、手がこすれて肌の刺激になるのを防いでくれます。

入浴・洗顔後はすぐに化粧水を

洗顔や入浴のあとは、皮脂が落ちて乾燥しやすくなっているので、すぐに化粧水をつけましょう。また、化粧水をつけるときはコットンを使った方がムラがなく、目元や口元など皮膚が薄い部分にも水分が行き渡ります。ただし、水分が少ないとコットンの繊維で肌を傷つけてしまうため、化粧水をたっぷりふくませ、優しくパッティングしてください。

水分だけでなく油分もプラス

化粧水だけで保湿ケア完了ではありません。化粧水をつけたら、水分の蒸発を防ぐため、乳液やクリーム、オイルなどで潤いを閉じ込めます。これらの保湿アイテムは水分と油分のバランスが異なり、乳液<クリーム<オイルの順に油分が多くなります。肌質や部位に合わせて使い分けるとよいでしょう。

【肌質別】注意すべき保湿ケアのポイントを解説

最後に、肌質別に注意すべき保湿ケアの仕方を紹介します。

乾燥肌

乾燥肌の方は、皮脂膜が落ちるのを防ぐとともに、油分の多い保湿アイテムを取り入れるとよいでしょう。熱いお湯は必要な皮脂まで落としてしまうので、クレンジングや洗顔のときはぬるま湯がおすすめです。

脂性肌

べたつきが気になる脂性肌ですが、洗顔のしすぎやあぶらとり紙で皮脂をとりすぎたりすると、かえって皮脂の分泌が盛んになり、ニキビやべたつきの原因になってしまうため注意が必要です。

また、化粧水だけで保湿ケアを終わりにせず、乳液などで潤いを閉じ込めることを忘れずに。べたつきやテカリが気になる部分は、ティッシュで優しくオフしながら保湿ケアするとよいでしょう。

混合肌

混合肌の方は、部位に合わせた保湿ケアが重要です。テカリが気になるTゾーンはティッシュで優しくオフする、頬など乾燥が気になる部分は保湿アイテムを重ねづけするなど、部位に合わせて保湿ケアを使い分けましょう。

まとめ

保湿ケアは、美肌作りに欠かせない大切なステップです。保湿ケアのコツや肌質別に気をつけるべきポイントを押さえ、正しい保湿の仕方を実践しましょう。

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