美白でよく聞くトラネキサム酸とは?トラネキサム酸の美白効果と注意点
トラネキサム酸は、近年注目を集めている美白成分の一つです。もともとは医療用医薬品として使われていた成分ですが、シミを予防する効果があるとして、美白化粧品にも配合されるようになっています。この記事では、トラネキサム酸の美白効果と使用する上での注意点について解説します。
トラネキサム酸とは
まずは、トラネキサム酸とはどんな物質か、どのような美白効果があるのかという点から見ていきましょう。
トラネキサム酸はアミノ酸の一種
トラネキサム酸は、人工的に合成されたアミノ酸の一つです。止血、抗炎症、抗アレルギーなど多様な作用があり、医療用医薬品として古くから利用されています。
トラネキサム酸の美白効果
トラネキサム酸の美白効果は、「メラニンの生成抑制」と「抗炎症作用」の2つのアプローチがあります。
紫外線などのダメージを受けると、肌の内部は炎症を起こした状態に。すると、その刺激により「プラスミン」や「プロスタグランジン」などの物質が生成されます。これらの物質の働きにより、メラニン生成の司令塔であるメラノサイトという細胞が活性化され、メラニンの生成が活性化します。
トラネキサム酸は、プラスミンやプロスタグランジンの働きや生成を阻害する作用があり、メラニンの生成を抑制します。またプラスミンは炎症反応にも関与しているため、トラネキサム酸は抗炎症作用を発揮して、シミを予防する働きもあるのです。
肝斑の治療薬としても
トラネキサム酸の内服薬は、肝斑の治療薬として2007年に認可されました。肝斑は、ホルモンバランスの乱れによって、両頬に茶色いシミができる病気です。肝斑はレーザー治療が困難なケースもあるので、トラネキサム酸の内服薬は有効な治療法の一つといえるでしょう。
トラネキサム酸はどのように取り入れたらよい?
美白のためにトラネキサム酸を取り入れる場合は、どのような選択肢があるのでしょうか。
美白化粧品に含まれているのはm-トラネキサム酸
市販の美白化粧品に含まれているのは、「m-トラネキサム酸」という成分です。これはトラネキサム酸の安定性を高め、化粧品に配合できる形にしたものです。トラネキサム酸は古くから医療用医薬品として使われていましたが、2002年に資生堂が厚生労働省から認可を取得し、医薬部外品の有効成分として配合できるようになりました。また、資生堂では「m-トラネキサム酸」という呼称を使っていますが、「m-トラネキサム酸」も「トラネキサム酸」も有効成分自体は同じです。
今日では、トラネキサム酸は美白化粧品のほか、シートマスクに配合されているものもあります。毎日使うスキンケア商品をトラネキサム酸配合のものにしたり、シートマスクや美容液など、ポイント使いで取り入れてみるのもよいでしょう。
美白化粧品に含まれるトラネキサム酸の濃度は?
スキンケア商品は「医薬部外品」と「化粧品」に分けられ、このうち医薬部外品には、厚生労働省が認可した有効成分を規定濃度配合することが認められています。トラネキサム酸の場合は2%なので、医薬部外品の表記がある美白化粧品は、上限2%までトラネキサム酸を配合できます。
一方、医薬部外品よりも有効成分の濃度が低いのが化粧品です。高濃度のトラネキサム酸配合アイテムを使いたい場合は、医薬部外品を選んだ方がよいでしょう。ただし、濃度が低いからといって「化粧品には美白効果がない」というわけではありません。使用感や価格なども美白化粧品を選ぶポイントになりますので、自分が使いやすい美白化粧品を選んでくださいね。
市販のサプリメントでは入手できない
美白効果があるトラネキサム酸を、サプリメントなどで手軽に摂取したい!と思われる方もいるでしょう。しかしトラネキサム酸には止血作用がありリスクもあるので、市販のサプリメントはありません。シミの治療のためにトラネキサム酸の内服を希望する場合は、皮膚科医に相談しましょう。肌の状態やシミの種類を確認してもらい、必要であればトラネキサム酸が処方されます。
トラネキサム酸の注意点
美白効果があるトラネキサム酸ですが、注意点もあります。薬の飲み合わせや副作用について、しっかりと理解しておきましょう。
ピルとの併用はNG
トラネキサム酸はピル(経口避妊薬)との併用はできません。ピルには血栓症を起こす可能性があります。トラネキサム酸は止血(=血液を固まりやすくする)作用を持ち、血栓の溶解を阻害して血栓症のリスクを助長する恐れがあるため、ピルとは併用NGです。ピルを服用している人は、医師または薬剤師に相談してください。
副作用が出ることもある
トラネキサム酸は比較的安全な薬ではありますが、まれに食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ等の副作用が現れることがあります。服用中にこれらの症状が現れたら、服用を中止して医師に相談してください。
トラネキサム酸以外にも!テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルとは?
ここからは、トラネキサム酸と合わせて覚えておきたい注目の美白成分・テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルについて紹介します。
テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルはビタミンCの誘導体
テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルは、ビタミンCの誘導体の一つです。ビタミンCといえば、言わずと知れた美白ビタミンですが、水溶性であり皮膚に吸収されにくいという問題がありました。この問題点を改善したのが、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルです。テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルは脂溶性であり、水溶性のビタミンC誘導体と比べて、皮膚からの吸収性がアップしました。
テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルの美白効果
テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルは皮膚から吸収されたのち、ビタミンCの形となって美白効果を発揮します。ビタミンCには、メラニンの生成抑制、メラニンを還元してシミを淡色化、活性酸素の除去など、美白・美肌にはうれしい効果がたくさんあります。美白化粧品やメイクアップ用品、日焼け止めクリームなどに配合されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
トラネキサム酸は、メラニンの生成抑制、抗炎症作用によりシミを改善します。トラネキサム酸に市販のサプリメントはなく、皮膚科医による処方が必要です。トラネキサム酸の美白効果や副作用を理解したうえで正しく使い、シミの改善に取り組みましょう。