【医師監修】美白の王様・ハイドロキノンとは?その効果と使用上の注意点

Dr.Motoko
監修者 : Dr.Motoko
【プロフィール】

大学病院・皮膚科学教室で研鑽を積み、海外の大学・皮膚科学教室の留学経験を持つ。
製薬会社、化粧品・サプリメント会社などに勤務。
美容皮膚科クリニックで臨床にあたる他、産業医も務める。

スキンケア

長い使用実績とその強力かつ確かな美白効果について、よく知られているハイドロキノン。ただし、使用上注意が必要な成分でもあります。ハイドロキノン含有の化粧品を使う場合は、市販の化粧品を購入するか、あるいは皮膚科で処方してもらう方法があります。

ここでは、それぞれの違いや、ハイドロキノン含有化粧品を選ぶときの注意点について徹底解説します。

ハイドロキノンとは

美白の王様・ハイドロキノンとはどのような物質か、またどれほど美白効果が期待できるのか、という点を解説します。

ハイドロキノンは天然の還元物質

ハイドロキノンは、イチゴや麦芽、コーヒーなどに含まれている天然にも存在する成分です。で、その還元作用の高さから、写真の現像液の主薬として使われています。

かつて日本では、ハイドロキノンは医師のみが処方できるものでした。しかし2001年の法改正により規制緩和が進み、市販の化粧品としても入手できるようになりました。美白ケアにハイドロキノンを使いたい場合は、市販のアイテムを購入するか、皮膚科で処方してもらうかを選択することになります。

ハイドロキノンの美白効果

ハイドロキノンには、2つの美白効果があります。

1つ目は、メラニンの生成を抑制する作用です。メラニン生成に必要な「チロシナーゼ」という酵素の働きを阻害し、シミの原因となる過剰なメラニンの生成を予防します。

2つ目は、メラニン色素を還元する作用です。黒色化したメラニンを還元し、できてしまったシミの色を薄くします。

ハイドロキノンの美白効果はコウジ酸やアルブチンの10~100倍とも言われています。ハイドロキノンは、褐色のシミが顔に左右対称に現れる「肝斑(かんぱん)」の治療薬としても利用されています。

ハイドロキノンを使う際の注意点

高い美白効果があるハイドロキノンですが、使う際には注意が必要です。ハイドロキノンを塗った肌は紫外線の刺激を受けやすく、強い日差しを浴びるとかえってシミが濃くなる可能性があります。色素沈着を防ぐため、使用後は紫外線対策を徹底しましょう。

また、ハイドロキノン自身に刺激を感じる方もいらっしゃるので、赤みやかぶれなどの症状があれば、使用を中止しすみやかに皮膚科医に相談してください。アレルギー症状がある場合もあるため、初めてハイドロキノンを使うときは、腕の内側に10円玉程度の大きさで試し塗りをしてみて2日間ほど赤みなどの反応があるか確認してみてください。

皮膚科でのハイドロキノン治療とは?

ハイドロキノンを使うことに不安がある方は、皮膚科医に相談しましょう。皮膚科でハイドロキノンを処方してもらう場合は、以下のような治療法があります。

トレチノインとセットで処方されることが多い

トレチノインはビタミンA誘導体で、ハイドロキノンと合わせて処方されることが多い塗り薬です。ハイドロキノンの肌への吸収を高め、肌のターンオーバーを促進する効果もあります。なお皮膚科でのハイドロキノン治療は、美容目的のため保険診療の適応外となります。一緒に使うことにより、トレチノイン自体による肌への刺激と、ハイドロキノンの吸収を高めるために、よりハイドロキノンによる副作用も出やすくなります。敏感肌などで心配な場合は、先生に事前に相談しましょう。

レーザー治療と組み合わせるのが一般的

皮膚科のシミ治療では、シミ取りのレーザー治療後に合わせてハイドロキノンが使用されるケースが多いです。ハイドロキノンには、レーザー治療の炎症後、色素沈着を穏やかにする働きも期待できます。レーザー施術後は肌が薄く、刺激に対してデリケートな状態です。使用方法については、医師の指示を守り、使用中に心配な場合にはすみやかに担当医に相談しましょう。

皮膚科で処方されたハイドロキノンの注意点

ハイドロキノンの保存方法は注意が必要です。ハイドロキノンは一般的には非常に不安定のため、処方された製品の保管方法、使用法については、処方した医師の指示に従いましょう。一般には、冷暗所で保管します。また、製品ごとに開封してからの使用期限は異なりますが、1ヵ月~3か月以内などを目安としてなるべく早めに使い切る必要があるものが多いです。尚、時間がそれほど経っていなくても保存方法などの影響で変色してしまった場合には、成分が劣化している可能性が高く、肌にも刺激が強くなっているため、使用は控えたほうが無難です。

市販のハイドロキノン含有製品の選び方

ハイドロキノンを使って美白を手軽に始めたい!という人は、市販の製品を使いましょう。ハイドロキノンは美白効果が高いため、ポイント使いの化粧品として販売されているのが一般的です。

敏感肌・刺激が心配なら安定型ハイドロキノンを選ぶ

美白製品に使われているハイドロキノンには、ハイドロキノンを加工せずそのまま配合した「純ハイドロキノン」と、コーティングするなどひと手間加えた「安定型ハイドロキノン」があります。「せっかく使うならハイドロキノンの濃度が高い方がいい!」と思われるかもしれませんが、濃度だけで選ばずに、初めてハイドロキノンを使う人や敏感肌の人は、濃度が低い製品から始めることがおすすめです。また、「安定型ハイドロキノン」では、ハイドロキノンをコーティングするなど、より成分的な安定を図っています。そのため、保存性がより高められ扱いやすく、また、肌への刺激も軽減されていることが期待できます。

濃度を確認する

市販のハイドロキノン製品を選ぶときは、ハイドロキノンの濃度を必ず確認しましょう。市販の製品は2%~4%以下のものが多いですが、お肌が敏感な方は、なるべく低い濃度のものから試らされたほうが無難でしょう。アメリカでは市販品へ配合できる濃度は2%までと決まっていますが、日本では規制がないため、高濃度の製品も見受けられます。

なお、皮膚科で処方されるハイドロキノン製品は、濃度が高めの4~10%が多いです。濃度が高いほど副作用のでる可能性は高くなりますので、先生にご相談の上、自分の肌に合ったものを試してみましょう。

ハイドロキノン誘導体は別物!

化粧品の成分表を見ると、「ハイドロキノン誘導体」というものもあります。しかしハイドロキノンとハイドロキノン誘導体は別物です。ハイドロキノン誘導体はαアルブチンといわれる成分で、ハイドロキノンにブドウ糖を結合させることによりつくられます。αアルブチンはハイドロキノンと比較して美白効果は劣るものの、低刺激性で安定している美白成分としてチェックしておくとよいでしょう。

まとめ

ハイドロキノンには高い美白効果がある一方で、刺激が強いため肌へのリスクもあります。美白ケアにハイドロキノンを使う場合は、組み合わせて使う製品との相性、濃度など、そのメリットとデメリットを理解した上で、自分の生活様式、肌タイプに合った方法、用量、濃度で正しく利用しましょう。

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