便秘になると肌荒れしやすいのはなぜ?腸と肌の関係
便秘になると、肌荒れなど肌の不調を感じやすいという方も多いのではないでしょうか。腸と肌は密接に関係しており、美肌の要は腸にあるといっても過言ではありません。便秘と肌荒れの関係、便秘を改善して肌荒れを予防するための対処法を解説します。
便秘で肌荒れする原因
便秘になるとなぜ肌荒れするのか、そのメカニズムについて見ていきましょう。
腸内細菌によって有害物質ができる
腸内細菌には、大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があり、これらのバランスで腸内環境が変わります。便が排出されずに大腸に留まると、便の腐敗が進み腸内の悪玉菌が増えます。
悪玉菌は腸内のタンパク質を変性させ、アンモニアやフェノールなどの有害物質を作りだします。この有害物質が血液の流れによって全身に運ばれるのですが、これらが汗といっしょに体外に排出される際に肌の表面に刺激を与え、肌荒れの原因になると考えられています。
肌のターンオーバーが乱れる
肌の一番表面にある角質層は、肌のターンオーバーによって一定周期で新しい細胞へと生まれ変わっています。便秘によって腸内に有害物質が増えると、これが血液の流れによって肌にも滞留し、これが肌の代謝を妨げると考えられています。
肌のターンオーバーが乱れるとすこやかな肌を作れないため、乾燥などのダメージを受けやすくなったり、肌がくすみがちになったりして肌荒れを引き起こします。
生理前や妊娠中に便秘や肌荒れする理由
女性は生理や妊娠など、ホルモンバランスの変化によっても便秘や肌荒れすることがあります。
女性ホルモンの働き
生理や妊娠に関連する女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。月経から排卵までの期間を卵胞期、排卵から次の月経までの期間を黄体期といい、それぞれのホルモンの分泌量が多くなります。
黄体ホルモンの分泌が増えると便秘になりやすい
排卵後に分泌量が増える黄体ホルモンは、受精卵を着床させ妊娠しやすくする働きがあり、腸の動きをにぶらせて必要な栄養素を体内に溜め込もうとする性質があります。そのため、黄体ホルモンの分泌がさかんになる生理前や妊娠初期は便秘になりやすくなります。
このほかにも、黄体ホルモンは皮脂の分泌量を増加させるため、ニキビができやすくなり肌荒れを引き起こします。
妊娠初期はつわりの影響も
妊娠初期は、つわりのせいで食事量が減ったり、嘔吐して水分不足になってしまったりするため、便秘に悩む方が多いです。また、体調変化により体が満足に動かせず、運動不足になることもあるでしょう。
つわりの症状がひどいと、脱水になってしまう可能性もあります。つわりや便秘は無理せずに、かかりつけ医に相談してください。
便秘と肌荒れを改善する対処法
便秘やそれにともなう肌荒れを改善するための対処法を紹介します。
腸によい食事を意識する
腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やすことが大切です。善玉菌を多く含むヨーグルトや納豆などの発酵食品を積極的にとるとよいでしょう。
食物繊維は、水分を吸収してスムーズは排便をサポートしたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしたり、善玉菌のエサとなったり、腸内環境を整えるには欠かせない栄養素の一つです。
食物繊維は大きく分けて、海藻や果物に多く含まれる水溶性と、ごぼうやれんこん、豆類などに多く含まれる不溶性の2種類があります。便秘改善のためには、両者をバランスよく摂取することが大切ですが、すでに便秘の人は、不溶性食物繊維を摂り過ぎると腹痛を起こすこともあるので、適度な量を心がけてください。
適度な運動を心がける
腸の活動が停滞しているのは、体の代謝が低下しているサインでもあります。代謝を活発にするために、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を取り入れるのもよいでしょう。通勤を自転車にしてみたり、エスカレーターではなく階段を使ったり、毎日の生活で簡単に始められるものから取り入れるのもおすすめです。
また、排便する力をつけるためには腹筋を鍛えるのも効果的です。腹筋の筋トレをするときは、完全に体を起こさなくてよいので、きついなと感じるところで5秒ほどキープ、ゆっくり体を元に戻します。お腹に力が入るのを意識しながら、10回ほど行うとよいでしょう。
睡眠時間をしっかり確保する
便秘は睡眠不足とも関連しています。自律神経には緊張時に優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があり、両者のバランスの体の機能が維持されています。腸の活動は副交感神経の働きによるものですが、睡眠不足やストレスは交感神経を優位にさせて便秘を引き起こします。
睡眠時間の確保や適度なストレス発散などで、普段から体をいたわりましょう。
まとめ
腸と肌には密接な関係があり、腸内環境が整えば肌にもよい影響が現れます。生活習慣を見直して、便秘や肌荒れを予防・改善しましょう。