【医師監修】シミとそばかす・肝斑の違いとは?対処法を徹底解説

野口なつ美
監修者 : 野口なつ美

渋谷美容外科クリニック副院長

【プロフィール】

慶應義塾大学環境学部卒業後、東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学皮膚科勤務ののち、大手美容外科、都内美容クリニック院長を経て、2015年より渋谷美容外科クリニック副院長を務める。都内保健所勤務、栄養療法外来、産業医経験も含め、幅広く予防医学、美容医療にかかわっている。

スキンケア

肌のお悩みとしてよく挙げられるのが、シミとそばかすです。一般的なシミとそばかすでは原因や治療法も異なるため、まずはシミかそばかすかを見極めることが重要です。この記事では、シミ、そばかす、そして肝斑の違いを、原因や見た目、治療法などのポイントから解説します。

シミとそばかす・肝斑の違い

シミとそばかす・肝斑の違いについて、まずはシミができるメカニズムから見ていきましょう。

そばかすはシミの一種

そもそもシミとは、メラノサイトから生成されるメラニン色素が肌に沈着したものの総称です。紫外線やストレスなどの刺激でメラノサイトが活性化すると、メラニンが生成します。メラニンは通常、肌のターンオーバーにより体外に排出されます。

しかし、ターンオーバーの乱れがあるとメラニンが排出されず、シミとして残ります。一般的にシミと聞いて多くの人がイメージするのは、紫外線が原因のものでしょう。

これは医学的には「老人性色素斑」と呼ばれます。そばかすもシミの一種で、医学的には「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼ばれます。そばかすもメラニン色素が肌に沈着したものという意味では同じ状態です。

シミにはいくつかの種類がある

シミには、これ以外にも女性に生じることが殆どの「肝斑」、ニキビ跡がシミに移行する「炎症後色素沈着」などがあります。

ここからは、老人性色素斑、そばかす、肝斑の違いを原因・見た目・治療法の観点から解説します。

原因と見た目の違い

それぞれのシミの原因と、見た目の違いを見ていきましょう。

老人性色素斑

紫外線を浴びたダメージの蓄積によってできるもので、シミのなかではもっともポピュラーです。紫外線を浴びやすい頬やこめかみ、手の甲などに多くできます。40代以降で目立つようになりますが、紫外線を浴びる機会が多いと、20代で現れることもあります。

色は薄いものから濃いものまでさまざまです。最初は色が薄くても、次第にシミの境界がはっきりとしてきます。

そばかす

そばかす(雀卵斑)は遺伝的な素因が強いシミです。頬や鼻を中心に、左右に散らばったような小さな斑点ができます。幼少期から徐々に現れ、思春期に濃くなるという特徴があります。

また、夏に色が濃くなり、冬には色が薄くなるのを繰り返します。そばかすは白人に多く、日本人では、色白の人がなりやすいと言われています。

肝斑

女性ホルモンの乱れが原因となっていることが多いシミです。妊娠、ピルの使用、更年期のホルモンバランスが崩れやすい30~50代の女性に多く見られます。頬骨のあたりに、左右対称に輪郭があいまいな茶褐色のシミができることが多いです。

治療法の違い

皮膚科で行われる、それぞれのシミの治療法の違いを解説します。細かい治療内容はクリニックによって異なりますので、詳しくは皮膚科医にご相談ください。

老人性色素斑

老人性色素斑に対しては、シミの程度により光治療、レーザー治療、ハイドロキノンやトレチノインの外用などを行います。光治療とレーザー治療では、照射する波長や範囲が異なります。

フォトフェイシャルなどの光治療は、広範囲のシミに照射できるのが特徴で、シミのほかにもくすみ、毛穴などさまざまな肌トラブルに効果があり、美肌効果も期待できます。レーザー治療はシミに効果的な波長を選択的に照射できるため、フォトフェイシャルに比べて強いパワーで照射することができ、ピンポイントにシミを除去したい場合に向いていると言えるでしょう。

ハイドロキノンは、天然の還元物質で、紫外線により活性化した色素細胞でメラニンを作り出すための酵素を抑制する作用があり、トレチノインは、肌のターンオーバーを活性化して、メラニンの排出を促進します。

そばかす

そばかすに対して即効性が高いのはレーザー治療です。このほか、メラニンの産生を抑え、肌のターンオーバーを整える効果のある、トラネキサム酸、L-システイン、ビタミンCやビタミンEの内服療法、化学的な作用で肌のターンオーバーを促進するケミカルピーリングなどがあります。

ただし、治療は思春期以降に開始することが推奨されます。幼少期のそばかすがその後薄くなる可能性があること、治療が肌への負担になることなどが理由です。

肝斑

肝斑の場合は、抗炎症作用があるトラネキサム酸の内服が有効です。内服は2~3か月継続します。一般的なレーザーを照射すると悪化する可能性があるため、従来は肝斑には適さないとされてきましたが、肝斑にも有効なレーザー機器も登場しています。

どんなタイプのシミでも共通する、シミの対処法

シミ治療においては、シミができにくい体を作るのも大切です。どんなタイプのシミでも共通するシミの対処法を紹介します。

徹底したUVケア

どんなタイプのシミであっても、紫外線はシミの悪化因子の一つです。UVケアは欠かさずに行いましょう。紫外線には、1年を通して地表に降り注いでいるUVAと、夏に強くなるUVBの2種類があります。

主にシミの原因となるのはUVBのため、特に夏はUVBをカットする指標である「SPF値」が高い日焼け止めクリームを使い、一定時間ごとに塗りなおしましょう。なお、UVAは肌の奥深くまでダメージを与え、シワやたるみの原因となります。

日焼けに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

生活習慣の見直し

シミの改善のためには、肌のターンオーバーを整えてメラニンの排出を促すことが重要です。しっかり睡眠を取ると、新陳代謝をサポートする成長ホルモンの分泌が促進されます。また、シミの改善に効果的なビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどの栄養素を積極的に摂るのもよいでしょう。

まとめ

シミにはいくつかの種類があり、そばかすはシミの一種です。まずは自分のシミの種類を知り、適切なケアを行いましょう。

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