保湿ケアにおいて、どの保湿アイテムを使うかは気にかけていても、保湿のタイミングは意識しているでしょうか。どんなによい保湿アイテムを使っても、保湿のタイミングを間違えていたら、保湿効果を最大限得ることはできません。保湿効果をさらに引き出すためには欠かせない、保湿ケアのタイミングについて解説します。

保湿の重要性

なぜ保湿が重要なのか、肌の構造から見ていきましょう。

肌の構造

肌は、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっています。表皮は紫外線やウイルスなどから肌の内部を守るバリア機能があり、真皮には肌のハリを保つコラーゲンやヒアルロン酸などがあります。皮下組織は主に脂肪からなり、体温の調節、衝撃の吸収などの役割を果たしています。

表皮の構造をもう少し細かく見てみると、表皮のもっとも外側は「角質層」と呼ばれます。角質細胞が並んでいる隙間を細胞間脂質が埋め、一番外側には皮脂膜があります。

保湿成分は表皮にある

重要な保湿成分は主に表皮に位置しており、以下のようなものが挙げられます。

天然保湿因子（NMF）：角質細胞のなかで、水分を保持する働きがある天然の物質です。NMFの半分以上はアミノ酸由来であり、水と結合しやすい性質があります。
セラミド：細胞間脂質の半分以上を占める成分です。水とつなぎとめるとともに、角質細胞の隙間を埋めて、乾燥や紫外線などのダメージから肌を守っています。
皮脂：皮脂膜を形成する物質で、表皮のもっとも外側にあり、肌の表面にフタをして水分の蒸発を防ぎます。過剰な皮脂はニキビやべたつきの原因になりますが、適度な皮脂がないと肌の乾燥を招きます。

このように、保湿成分といってもいくつかの種類があり、その役割はそれぞれ異なります。

保湿アイテムの役割

保湿アイテムには、上記の保湿成分を補う役割があります。化粧水の8～9割は精製水であり、水分の補給とともに、化粧水に含まれた保湿成分や美容成分を肌に浸透させる働きがあります。乳液やクリームには油分が含まれており、洗顔で落ちてしまった皮脂が再び生成するまでの間、皮脂膜の代わりとなって水分の蒸発を防ぎます。

また、油分があるため細胞間脂質ともなじみがよく、セラミドなどの成分を肌に届ける働きも持っています。肌が乾燥していると、紫外線などのダメージを受けやすくなり、肌のキメも荒れてしまいます。そのため、保湿アイテムをしっかり使って、保湿成分を補うことが大切です。

洗顔後の保湿はスピードが命！

保湿のタイミングですが、保湿アイテムの効果をより高めるためには、以下のような条件がそろっていることが理想的です。

• 肌が柔らかくなっている
• 肌に汚れがない
• 肌に水分がある

これらを満たしているのが、洗顔後や入浴後です。したがって、保湿のベストタイミングは洗顔後や入浴後であるといえます。ただし、洗顔や入浴のあとは、NMFや皮脂などの保湿成分が洗い流されてしまっているので、すぐに潤いをチャージする必要があります。

目安として、タオルドライのあと、3分以内に保湿するのを目標にしましょう。

乾燥が気になる部位は日中にも保湿ケア

乾燥が気になる部位は、朝晩だけでなく、日中にも保湿ケアをプラスするのがおすすめです。

ミスト化粧水で潤いを補給

エアコンなどの乾燥しやすい環境に日中いる人は、ミスト化粧水を使うとよいでしょう。「化粧水だけではいずれ水分が蒸発して乾燥するのでは？」と思われるかもしれませんが、水分をつなぎとめる保湿成分が入っているものであれば、日中の水分補給でも保湿効果があります。

メイクの上からでもできるので、乾燥が気になるタイミングで潤いをチャージしましょう。

乾燥が原因の小じわにはクリームでポイントケア

皮膚が薄い目元や口元は、乾燥による小じわが目立ちやすい場所です。朝晩の保湿ケアでも丁寧にクリームを塗りましょう。日中でも乾燥小じわが気になったら、必要に応じてクリームを塗ってポイントケアするのがおすすめです。

ボディの保湿ケアのタイミング

ボディの保湿のタイミングも、基本的には顔の保湿と同じです。

ボディの保湿は入浴後がベスト

入浴後は毛穴が開き、汚れも落ちているので、保湿成分が浸透しやすくなっています。入浴後はボディの保湿をするベストタイミングといえるでしょう。このとき、脱衣所では水分が蒸発して乾燥しやすいので、蒸気が残っている浴室内で塗るのがおすすめです。

正しいボディクリームの塗り方

水分が多少残っている方がクリームのなじみがよくなるので、体はさっと拭くだけで十分です。ボディクリームを手に取ったらいきなり塗るのではなく、少し手の平で温めると保湿成分がより浸透しやすくなります。

体に塗るときは、濡れている肌にくるくると円を描くようにしてなじませます。最後に、余分な水分をタオルで優しく拭いて完了です。乾燥が気になる部位は、重ねづけすると保湿効果がアップします。

まとめ

保湿のベストタイミングは洗顔や入浴の直後です。洗顔や入浴で肌の潤い成分が落とされているので、保湿ケアはスピードが命です。保湿ケアのタイミングを押さえて、保湿効果を最大限に引き出しましょう。