【医師監修】メラノーマとは?シミとの鑑別が重要な皮膚の病気

中村淑子
監修者 : 中村淑子

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医/サーマクール認定医/順天堂大学非常勤助教/北朝霞メディカルクリニック院長

【プロフィール】

大学病院で7年勤めたのち、美容皮膚科クリニックで研鑽を積み現職。
製薬会社の化粧品開発など皮膚科領域で幅広く活動している。

スキンケア

シミやホクロとの鑑別が重要な皮膚の病気「メラノーマ」をご存知でしょうか。皮膚がんの一種で、放っておくと全身に転移してしまうこともある病気です。メラノーマで見られる症状には特徴があるため、日頃から自分でチェックすることが早期発見につながります。メラノーマの原因とタイプ、そしてメラノーマのチェック方法について解説します。

メラノーマとは

メラノーマは悪性の皮膚がんです。メラノーマの症状やタイプ、原因について解説します。

メラノーマはメラノサイトが腫瘍化したもの

メラノーマは「悪性黒色腫」とも呼ばれます。メラニン色素を作るもととなる「メラノサイト」という細胞ががん化したもので、黒褐色のシミ(色素斑)やしこり(結節)が手足や体幹、顔などにできるのが特徴です。
日本人におけるメラノーマの罹患率は低く、人口10万人あたり1.5~2人といわれています。日本人にとってメラノーマはまれながんですが、転移しやすく悪性度が高いため、早期発見が非常に重要といえるでしょう。

メラノーマは4タイプある

メラノーマは、発生する部位や形状によって、大きく4つのタイプに分けられます。

  • 末端黒子型:日本人にもっとも多いタイプのメラノーマです。手のひらや足のひらなど、体の末端部に色素斑ができ、ホクロのように見えることもあります。爪にも発生することもあり、黒い筋が爪全体に広がっていきます。
  • 表在拡大型:胸・お腹・背中・手足の付け根など、体のあらゆる場所にシミ病変ができます。白人に多いタイプですが、ごくまれに日本人でも発生します。
  • 結節型:部位に関係なく、褐色~黒色の結節(硬いしこり)ができます。結節の周りにシミのような色素斑はなく、40~50歳で多く発症します。
  • 悪性黒子型:主に、高齢の方の顔にできるメラノーマです。境界線が不明瞭な色素斑が徐々に広がり、やがて色素斑の中心に結節が生じることもあります。

メラノーマの原因

メラノーマは日本人よりも白人での発症率が高く、遺伝(家族歴)、皮膚の色などが関係していると考えられています。また、メラノーマのなかでも顔など日に当たる部位に症状が現れるものは、紫外線が重要なリスク因子の一つだと示唆されています。ただし、日本人のメラノーマは、手のひらや足裏などにホクロのような病変が認められるものが多く、紫外線の影響は少ないと考えられています。このほか、手足や爪に発生するメラノーマは、摩擦や外傷などもリスク因子として考えられています。

メラノーマの治療法

レントゲンなどの各種画像検査を受けて、その結果から病気の進行度を決定し、それに準じた治療法が選択されます。
メラノーマの治療の基本は、外科手術です。他の部位に転移せずに皮膚に限局している場合は、外科手術が第一選択となります。皮膚以外の場所に転移している場合は、必要に応じて放射線治療、抗がん剤による化学療法、免疫療法などの治療法があります。

自分でメラノーマをチェックする方法

簡易的な方法ですが、自分でメラノーマをチェックする方法もあります。メラノーマは、病気の進行度が治療法に大きな影響を与えるため、早期発見が治療の鍵となります

メラノーマは早期発見が重要!

メラノーマの治療法は、病気の進行度によって大きく異なります。がん細胞が皮膚の表面を這っている段階であれば、外科的切除でほぼ根治できます。全身に転移してしまう前に、外科手術ができる段階でメラノーマを早期発見することが非常に重要です。

メラノーマのチェック方法

以下の項目に当てはまるようなシミがないか、観察してみましょう。下記のチェック方法は、メラノーマと良性のほくろを分類する際に重要な指標として使われています。

  • シミの形状が対称でない
  • シミの境界線がギザギザしている、あるいは境界線がはっきりしている部分と不明瞭な部分が混在している
  • シミの色調にムラがある
  • シミの直径が6mm以上
  • 時間の経過とともに、サイズや形状、色調が変化するシミがある

ただし、これらに当てはまるからといって、必ずしもメラノーマとはいえません。メラノーマではないかと過度に心配する必要はありませんが、自分のシミを観察する習慣を持つのはよいことです。シミやほくろの形状に違和感がある、サイズや色調が変化するシミがあるという人は、早い段階で皮膚科を受診してください。

メラノーマの予防のためにできること

メラノーマの予防のために、毎日の生活のなかでできることを紹介します。

UVケア

メラノーマの発症には、紫外線が関与していると考えられているものもあります。日焼け止めクリームや遮光アイテムなどを使ってUVケアを行い、メラノーマの予防に努めましょう。

シミやほくろをいじらない

通常のシミやほくろであれば、いじった刺激でメラノーマに移行する可能性は極めて低いでしょう。ただし、それがメラノーマだった場合は話が異なります。患部への刺激や傷が、がん化を悪化させる可能性があります。
普段から、シミやほくろを過度にいじるのはやめましょう。疑わしいシミやほくろはむやみにいじらず、皮膚科医に相談してください。

まとめ

メラノーマは皮膚がんの一種ですが、がん細胞が皮膚の上を這っている段階であれば、外科手術で完治が見込める病気です。普段から、気になるシミやほくろがないかチェックする習慣を身につけるとよいでしょう。また、疑わしいシミを見つけたら、皮膚科医に相談してください。

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