【医師監修】正しい保湿ケアの順番は?ポイントを押さえて乾燥しらずの肌へ

土屋佳奈
監修者 : 土屋佳奈
【プロフィール】

東京医科大学卒業。東京女子医科大学で研修後、皮膚科学教室に入局。東京女子医大病院、JR東京総合病院勤務を経て、都内の美容クリニック、皮膚科クリニックに勤務。現在は、つちやファミリークリニック副院長、分院の浅草院 院長として、皮膚科診療を行う。

スキンケア

乾燥による肌トラブルを予防するには、保湿ケアが欠かせません。保湿アイテムにはさまざまな種類があるため、つける順番や使い方がわからないという方もいるのではないでしょうか。保湿アイテムの種類と、正しい保湿ケアの順番を解説します。

肌の構造と保湿アイテムの役割

まずは、肌の構造と保湿剤の働きについて解説します。

肌の構造

肌は、もっとも外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっています。それぞれ以下の働きがあります。

表皮:肌も表面にある厚さ0.2mmほどの非常に薄い組織です。紫外線や乾燥のダメージから肌の内部を守ったり、ほこりやウイルスの侵入を防いだりするバリア機能としての役割があります。表皮はさらに4層に分けられ、もっとも外側にあるのが「角質層」です。
真皮:肌の土台となる部分で、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの物質が存在しており、肌のハリを維持しています。
皮下組織:主に脂肪からなる部分で、衝撃の吸収、体温の調節などの働きがあります。

なぜ保湿ケアが必要なのか

保湿アイテムは、角質層に潤いを満たす働きがあります。角質層の構造は、潤い成分を保持した角質細胞が並び、その隙間を細胞間脂質が埋めています。角質層が潤いで満たされ、このような規則正しい配列をとることによって、紫外線やウイルスなどのダメージから肌を守っているのです。

肌が乾燥すると、角質層の配列が乱れ、隙間から外敵が侵入しやすくなります。角質層の持つバリア機能が低下すると、紫外線が肌の奥にまで届いてシミやたるみの原因となったり、肌のターンオーバーが乱れたりします。保湿ケアは、角質層に潤いを満たしてバリア機能を維持するのに重要な役割を果たしています。

保湿アイテムの役割

保湿アイテムにはいくつかの種類があります。それぞれの役割は以下の通りです。
導入化粧水:ブースターとも呼ばれます。あとに使う保湿アイテムの吸収を高めて、保湿力をアップさせます。

化粧水:角質層に必要な水分を補います。
乳液:水分や保湿成分を角質層に維持します。
クリーム:水分が蒸発しないようにフタをして、潤いを閉じ込めます。

保湿の順番

スキンケアアイテム
保湿アイテムの役割を踏まえたうえで、続いて保湿の順番について解説します。

保湿の基本は「水分→油分」

保湿アイテムは、水分の多いもの→油分の多いもの、の順番で使うのが基本です。クレンジングや洗顔で汚れをオフしたら、導入化粧水→化粧水美容液→乳液またはクリームの順に保湿アイテムをつけます。なお、洗顔後は皮脂が落ちて乾燥しやすくなっているので、保湿ケアは洗顔後すぐに行うのが鉄則です。

基本的な保湿ケアは「化粧水+乳液またはクリーム」で十分ですが、念入りに保湿ケアしたいという場合は、導入化粧水や美容液を使ってください。なお、乳液とクリームはどちらも保湿ケアの最終ステップで使うものですが、水分と油分の比が異なり、水分が多いのが乳液、油分が多いのがクリームです。肌質に合わせてどちらか選んだり、乾燥が気になる季節は乳液のあとにクリームを重ねづけしたりしてもよいでしょう。

乾燥が気になる人は、保湿ケアの最後にオイルをプラスするのもおすすめです。また、洗顔料にオイルを1~2滴混ぜて使うと、オイルが皮脂の代わりとなって、洗顔後の乾燥や肌のつっぱりを防いでくれます。

保湿ケアはクレンジングや洗顔から始まっている

保湿ケアは、保湿アイテムを使ったスキンケアだけではありません。クレンジングや洗顔でも、保湿ケアに留意することが大切です。

皮脂腺から分泌される皮脂は「天然のクリーム」とも呼ばれ、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。しかし、洗浄力が高すぎるクレンジング剤や洗顔料の使用は、必要な皮脂まで落として乾燥を招きます。一方で、濃いメイクなのに洗浄力の低いクレンジング剤を使用していると、力を入れないとメイクが落ちないため、肌に負担がかかります。肌質やメイクの濃さに合わせて、クレンジング剤や洗顔料を選びましょう。

保湿ケアのポイントQ&A

マスクパック
最後に、保湿ケアのポイントをQ&Aにまとめました。

導入化粧水と拭き取り化粧水の違いは?

導入化粧水も拭き取り化粧水も、洗顔後の保湿ケアのステップの最初の方に用いるものですが、その役割は異なります。導入化粧水は、あとから使う保湿アイテムの浸透を高める働きがあります。拭き取り化粧水は、洗顔で落とし切れなかった古い角質をオフするもので、保湿目的ではありません。

両方使う場合は、拭き取り化粧水→導入化粧水の順番で使います。ただし、保湿のステップをやたらに増やす必要はないので、自分の肌に合っていると感じたら継続して取り入れるようにしましょう。

塗り薬と保湿アイテムを塗る順番は?

皮膚科で外用薬が処方された場合、外用薬と保湿剤を塗る順番に困ってしまう方もいるでしょう。外用薬と保湿剤を併用する場合、塗る順番には実は明確な基準はありません。特に医師から指示がなければ、自分が使いやすい順番でOKです。

なお、保湿剤を塗ったあとに外用薬を塗った方がよいという意見がありますが、これは外用薬の方が塗る箇所が限局されていることが多く、外用薬→保湿剤の順番で塗ると、保湿剤を塗るときに先に塗った外用薬を塗り広げてしまうからです。先に保湿剤を使うことで、外用薬の刺激感を抑えられるというメリットもあります。

体の保湿ケアのベストタイミングは?

ボディの保湿ケアは、入浴後に顔の保湿と合わせて行う、就寝前にマッサージしながら行う、などさまざまなタイミングがありますが、保湿効果で考えると入浴直後が効果的です。入浴直後は毛穴が開いて汚れも落ちているので、保湿成分が浸透しやすい状態になっています。また、入浴後は皮脂が落ちているので、乾燥を防ぐためには、顔と同じく早めの保湿ケアが肝心です。脱衣所は水分が蒸発しやすいので、軽く水分を払って浴室内でボディクリームを塗るのがよいでしょう。

まとめ

保湿アイテムは塗る順番が重要です。保湿ケアのポイントを押さえて、乾燥に負けない美肌を作りましょう。

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