シミはなぜできる?シミができるメカニズムとシミの種類
シミの原因には、紫外線や女性ホルモン、ストレスなど、さまざまなものが挙げられます。この記事では、シミはなぜできるのか、そのメカニズムを徹底解説します。シミができるメカニズムやお悩みのシミの種類がわかると、自分のシミの正しい対処法も見えてきます。
シミができるメカニズム
まずは、肌の構造とシミができるメカニズムについて解説します。
肌の構造
皮膚は一番外側から、表皮、真皮、皮下組織の順に構成されます。
表皮:厚さ約0.1~0.3ミリの層で、表皮の一番表面には角質層があります。乾燥や紫外線などのダメージから、肌を守るバリア機能の役割を果たしています。
真皮:肌のハリを作る土台となる部分です。コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの成分が、肌の弾力をキープしています。
皮下組織:主に脂肪組織からなる部分で、衝撃を吸収するクッションとして働きます。そのほかにも、エネルギーを脂肪として蓄えたり、断熱や保温などを介して体温を調節したりする機能も有しています。
シミの種類にもよりますが、主にシミのもととなるメラニンは、肌のもっとも外側にある表皮で作られます。
シミの正体は色素細胞・メラニン
紫外線などの刺激を受けると、表皮の一番下に位置する基底層にある「メラノサイト」という細胞が活性化され、「チロシナーゼ」という酵素の働きによってメラニンが生成されます。メラニン自体は、肌をダメージから守るために必要な物質で、通常は肌のターンオーバーとともに肌表面に押し上げられ、生成して約1~2か月で体の外に排出されます。
しかし、排出しきれない過剰なメラニンが生成したり、肌のターンオーバーが乱れたりすると、やがてシミとして沈着してしまうのです。
シミができる原因
シミができる原因には、メラニンを作りやすくするものと、メラニンの代謝を妨げるものがあります。
紫外線
紫外線は、言わずと知れたシミのリスク因子です。紫外線を浴びると、そのダメージによってメラニンが生成します。さらに、強い紫外線を浴びると肌の表面が乾燥し、表皮の持つバリア機能が低下します。すると紫外線が肌の真皮層までダメージを与え、シワやたるみを引き起こす要因にもなります。
女性ホルモン
「肝斑」というシミは、女性ホルモンバランスの変化によってできやすくなるシミです。また、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」はシミと関連があります。女性は生理前にこれらのホルモンの分泌が多くなるため、特に生理前にシミができやすくなります。
ストレス
過度なストレスがかかると、体内で活性酸素(酸化力が強い酸素分子)が発生します。活性酸素は、メラノサイトを活性化してチロシナーゼを生成させ、これがメラニンの生成を活発にします。
加齢
歳を重ねるにつれ、肌や体の新陳代謝が衰えます。すると、肌のターンオーバーが遅延したり、活性酸素を除去する抗酸化物質の生成が低下したりするため、シミができやすくなります。
肌への刺激
ニキビ跡ややけどの跡など、肌への刺激がのちに色素沈着を起こして、シミになってしまうケースがあります。また、ゴシゴシ洗顔など、肌への摩擦はメラノサイトへの刺激につながります。
乱れた生活習慣
生活習慣は、シミをはじめ美肌作りと深く関係しています。栄養が偏っていたり、睡眠不足だったりすると、肌のターンオーバーが乱れてシミが残りやすくなります。
<h2シミの種類
表皮にできる主なシミの種類を紹介します。
老人性色素斑
今まで浴びた紫外線のダメージが蓄積して、やがてシミとして現れるタイプのものです。50代以降に好発するため「老人性」という名称がついていますが、20~30代くらいから徐々に目立つようになる人もいます。シミのなかではもっとも頻度が高く、多くの人にとって身近なシミといえるでしょう。頬や手の甲など、紫外線を浴びやすい部位にできるのが特徴で、予防には徹底した紫外線対策が欠かせません。紫外線によるシミとUVケアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
肝斑
女性ホルモンと密接な関連があるのが、肝斑です。閉経が近づき女性ホルモンのバランスが変化する30~50代の女性に多く見られるもので、両頬に左右対称のモヤモヤした形状のシミが現れるのが特徴です。このほか、妊娠中やピルの使用などがきっかけとなり、ホルモンバランスの変化が生じて起こることもあります。
肝斑の治療には「トランサミン(トラネキサム酸)」という内服薬の有効性が確認されています。
炎症後色素沈着
ニキビや傷、虫刺されなどの後に、患部が色素沈着を起こしてシミとして残ってしまうことがあります。それが炎症後色素沈着です。炎症反応後にできたメラニンは、通常は肌のターンオーバーとともに体外に排出されます。しかし、何らかの原因で肌のターンオーバーが乱れていると、シミとして沈着してしまいます。
炎症後色素沈着によるシミは時間の経過とともに自然に消失しますが、なかには消えるまで数年かかる場合もあります。シミへの移行を防ぐためには、ニキビができたあとのケアが肝心です。ニキビ跡の正しいケアについてはこちらの記事をご覧ください。
雀卵斑
頬に点々のようなシミができるもので、いわゆる「そばかす」です。雀卵斑は遺伝的な要素が強く、幼少期から出始め、思春期に濃くなる傾向があります。紫外線を浴びるとシミが悪化するので、UVケアがとても大切です。
真皮にできるシミもある
シミの多くは肌の一番外側にある表皮で発生しますが、なかには真皮にできるシミもあります。「後天性真皮メラノサイトーシス」と呼ばれるもので、肌の深いところにできている分、灰色や青色などの色味を有していることが特徴です。真皮には、市販のクリームの美白成分などは浸透しないため、皮膚科でレーザー治療やイオン導入などの受けることになります。
まとめ
一口にシミといっても、シミができる原因やシミの種類はさまざまあります。シミはなぜできるのか、そのメカニズムを理解したうえで、自分のシミを改善するのに適切なケアを取り入れましょう。